旦那は最高!でも5才下のニヤニヤ後輩と不倫生活⑦

いつもニヤニヤしてる会社の後輩。正直気持ち悪いと思っていたけれど、一緒に仕事をしているうちにその気持ちは変わっていった。でも、旦那も大好きです。
仕事を終えて、私たちは彼の車で海岸に向かって走り始めた。旦那には急な仕事で、帰れないかもと伝えた。旦那から子どもたちは任せとけ、とだけメッセージが帰ってきた。
夜の高速は、久しぶりの感覚だった。流れるライトの光が心地よかった。彼はお気に入りのフュージョンを流している。若いのに、大人びた感覚だと思った。私の耳にも心地いい。
普段は微笑みを絶やさない彼だが、運転している彼の表情はまるで年上の男性のようにも見えた。引き締まった顔立ちである。見ない顔であることが、私の胸を高鳴らせた。
私は何をしているのだろう。でも今はそんなことを考えないようにしよう。私は走り始めたのだ。誰が何と言おうと、今の私の思いを止めることはできない。だからそれでいい。
もうすでに辺りは真っ暗だった。遠くの街灯だけが私たちを照らし出す。着いた海岸がどこなのか、私には全く見当がつかない。彼は車を砂浜に止めると、私を外に連れ出した。
彼は海に向かって歩き始めた。私は後からついていった。何があるわけでもない、ただ波の音だけが心地よく私たちを包んでくれる。彼は佇み、しばらく黙って海を見つめていた。
「ここは本当に、何もないんだ。だからむしろ、夜ここに来る。素直になれるんだ…」
彼の呟きが、穏やかな風の中で心地よく聴こえる。波がハーモニーのように聞こえてくる。
「人が来ないから、僕はこの海岸が好きだ。連れてきたのは、真理ちゃんが初めてだ」
確かに彼の声だけが、突き刺さるように私に語りかけてくる。こんな感覚は、初めてのような気がする。そしてそばにいる彼も、なぜか初めて会った人のような感覚に囚われた。
彼は私の目を見て、少し寂しそうな、それでいて優しい表情で語りかけてきた。
「僕は、本当の笑い方を知らない。だから人前では、微笑むようにしているんだ。でもね、それにはどうしたって限界がある。だから悲しくなって、ここで海風に当たるんだ…」
意外だった。確かに彼は私に微笑みを絶やさなかった。でもそこには、内に秘めた苦しみがあったのかもしれない。微笑んで、何も言わないで、微笑みで包んでくれていたのだろう。
「そう、そうだったの…。ごめんね、気がつかなくて…」
彼は微笑み、首を振ってみせた。それは違うよ、と確かに目で語っていた。
「僕の今の微笑みは自然なんだ。それを教えてくれたのは真理ちゃん、君なんだ。だから僕は君をここに連れてきたかった。いつか必ず連れてきたいと、ずっと思っていたんだ…」
それ以上の言葉は、何もいらない気がした。私たちは抱き合い、キスをしていた。彼が自然と唇を求めてくれることに、その時の私には何のためらいも感じることはなかった。