旦那は最高!でも5才下のニヤニヤ後輩と不倫生活⑥

いつもニヤニヤしてる会社の後輩。正直気持ち悪いと思っていたけれど、一緒に仕事をしているうちにその気持ちは変わっていった。でも、旦那も大好きです。

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それからは、企画を立ち上げる時には彼の話を交えることにした。というよりも、企画立ち上げの主体はいつの間にか彼になっていた。意見は出すが、彼は即座に耳を傾け、考えを汲んですぐに新たな提案を仕掛ける。そして了解を取るようにニヤニヤするのである。

でもその時の私には、彼のニヤニヤがむしろ嬉しくなっていた。そして私も自分の意見がうまい具合に取り入れられると、自然に笑顔を返すようになった。彼はその私の笑顔を見る度に、親指を立てて嬉しそうに微笑む。そう、ニヤニヤではなく、彼の微笑みなのだ。

彼が微笑む度に、どこか安心したような気持ちになる。その癒しにも似た感情はいつの頃からか、彼の一挙手一投足に触れる度に何か絞めつけられるような思いにもなっていた。

彼を知りたい欲求は、日に日に増しているように思えた。何でもよかった。不思議な感情である。彼に向けられた感情は、なぜか抑える度に深まっていくような気さえしていた。

ふとあの部長に呼び出された日の、突然のナンパを思い出した。いや、あれはナンパではなかったのかもしれない。彼は「仕事だから」と言っていた。でも今となっては、あれはナンパであってほしかったと思う気持ちもある。仕事の最中ではあったが、話題にしてみた。

「ねぇ、この前溝口君の言っていた写真の海岸、気になってるんだけど…」

彼は突然の私のフリに一瞬戸惑ったようだったが、すぐに親指を立てた。そしてスマホから写真を出すと、再び私に差し出した。一見、何にもない海岸のようにも見えるのだが…。

「オレは、この海岸が好きなんだ。一度真理ちゃんにも、来てもらいたいと思ってる」

「でもこの前は、仕事のためだからと言ってなかった?」

「ああ、そうさ。でも仕事でなくても、真理ちゃんと行ってみたい」

仕事でなくても、が嬉しかった。

スマホを胸ポケットにしまうと、彼はいきなりスッと立ち上がった。

「今日、行ってみる?」

「えっ?」 あまりに大胆な誘いである。私に家庭があることを、彼は承知しているのだろうか

「無理よ。家で子どもたちが待ってる…」

そう言って、口をつぐんだ。彼はそうだなと言わんばかりに微笑み、また座り直した。

その仕草を見て、彼の誘いに何か意味があるような気がした。そしてこれは私の直感でしかなかったのだが、なぜかこの誘いを無駄にしてはいけないような切迫感すら覚えた。

「待って、行くわ。私行く…」

自分の言葉が信じられなかった。でも、後悔はしていなかった。彼はむしろ驚いたような顔をして、私を見つめていた。ダメもとで誘ったことが、彼の表情からもすぐうかがえた。

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