旦那は最高!でも5才下のニヤニヤ後輩と不倫生活③

いつもニヤニヤしてる会社の後輩。正直気持ち悪いと思っていたけれど、一緒に仕事をしているうちにその気持ちは変わっていった。でも、旦那も大好きです。

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「なぜ私がペアを組ませていると思う? それは、今回のような企画書を提出してほしくないからだ。一人がいいと思っても、もう一人がダメならダメ、それがペアだ」

「どういうことですか?」

「ベアであるなら、ダブルチェックできる。二人の目があってこそ、中身はまとまる。君にはその意味がわかっていないようだね。君たちペアを解消したっていいんだぞ」

これはチャンスかもしれないと思ったが、それ以上に大きなピンチであることも十分にわかっていた。私も彼も、場合によっては今後の仕事を干されてしまうかもしれない。

これは私の罪だが、彼も同罪になる。彼には申し訳ない気持ちもあるが、そもそも協力し合えなかったのは彼に原因がある。そんな言い訳を、心の中でつぶやいていた。

「溝口君、君はこの企画書に目を通したことがあるか」

彼は部長から渡された企画書を、無表情のままパラパラめくった。さも知っているかのような素振りで軽く何度もうなずきながら、最後のページを閉じ企画書を部長に返した。

「はい」

「本当に内容を知っていたんだな。それで君は、どう思ったんだ?」

短い時間に知っていたふりで読んで、答えられるわけがない。嘘が深みにハマっていく地獄の幕開けだと感じた。彼は飄々として、さも当然のような面持ちで質問に答えた。

「いいと思いました」

「どこがいいと思ったんだね?」

さあ、私たちは二人で閻魔大王に会いに行くのよ。覚悟はいい? 復活した古池君…。

「思い込みはあると思います。でも丁寧な内容じゃないですか。購入するお客様が求めているものは、その商品の価値です。高畑さんは、それを一番に表現したのだと思います」

「商品の価値?」

「そうです。使いやすさを表現したのですから、それがベストだと思います」

彼は毅然とそう言い放った。私は呆気にとられていた。部長を目の前にして、何でそんなことが言えるの? その前に、何で斜め読みなのに、私の企画をそう言い切れるの?

部長は改めて企画書に目をやった。ときどき首をかしげながら手を口に当て、改めて前段の部分を何度も読み返していた。そして今度は彼の方を向いて、改めて聞き返した。

「どう考えても、これは思い込みだよね。こんな価値はないと思うが…。」

「いいえ部長、よく考えてみてください。これは商品を十分に理解した者でなければ、決して書けない内容だと思います。思い込みだと指摘されれば、それは私に非があります」

「君の?」

「はい、私の思い込みですから」

「高畑君は、一人で企画書を作ったと認めているが?」

「はい、確かにそうです。企画書をまとめたのは高畑さんです。しかし高畑さんは、私の体験談を取り入れてくれたのだと思います。私はこの商品がいいと思っていますから」

よくしゃべる、しゃべる。あのニヤニヤは、どこへ消えたのだ?

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