旦那は最高!でも5才下のニヤニヤ後輩と不倫生活②

いつもニヤニヤしてる会社の後輩。正直気持ち悪いと思っていたけれど、一緒に仕事をしているうちにその気持ちは変わっていった。でも、旦那も大好きです。
私たちに今回課せられたミッションは、あるシェーバーのCM制作。部長はそれぞれ組んだペアに企画を立案させ、プレゼンによる競合の末勝ち得た者のアイデアを採用する。ペアを組むのは部長。ペアは相当数あり、競争率もそれなりに高い。だが案件も相当数あり、一度はモノにしなければならない。採用されたアイデアは、チームの案件に回されていく。
アイデアを受けたチームは、その趣旨に沿った内容で具体案を練る。チームは内容修正が許されるものの、アイデアに逸脱した内容を挟むことができない。ただ元の案があるので、ゼロから始めるプレッシャーを感じる必要はない。いかにアイデアを効果的に演出するかが、チームの主な使命になる。チームには人がいるので、いろいろな意見が飛び交う。
私はペアではなく、チームに入りたかった。元があればイメージをもちやすいし、何よりも編成される人数が圧倒的に違う。チームには当然ベテランも配置されているので、相談相手にも恵まれる。自分はまだ勉強する身、ベテランの話を聞きながら広告制作のノウハウを吸収できればいいと思っていた。だが若手は、どうしてもペアに回される傾向がある。
ペアはチームではないので、独創性が反映されやすい。時に奇抜なアイデアが出ることもあるが、部長はむしろそれを歓迎している。ペアなので、お互いのアイデアをチェックしながらすぐ進めていける利点もあるだろう。だが、私の相手は彼なのだ。彼を会話のテーブルに乗せなければならないが、私の場合そこから苦労しなければならないのが明らかである。
正直うんざりしているので、今回は私が勝手に企画書を作った。普段からペアであることを前提にするのが基本だと言われているので、ルール違反であることは承知している。
「悪いけど、今回の企画書は私が一存で書き上げた。プレゼンに上げるから」
彼は一瞬意外な顔をしたが、またニヤニヤを始めた。もうだいぶ慣れたはずなのに、なぜかその表情が異様に不気味に映った。企画書の中身を知っているわけでもないのに。
なぜまた、そんな見下すような態度をとる? アンタはバカにできないはずよね…。
今回の企画には、自信があった。だから彼にも高飛車な態度がとれたようなものだ。こんなにわかりやすい内容のCMなど、誰にも思いつくわけがない。そう思っていた。
でも、私の企画はチームに拒否された。負けたのだ。信じられない思いだった。採用されたアイデアが私の上をいくとはとても思えない。どこがいいの、あんなアイデア…。
プレゼンを終えて間もなく、私は彼とともに部長に呼ばれた。落とされたことを、私は黙っていた。いずれはバレること。プレゼンには彼にも部長にも嘘をつき、一人で参加した。
部長は手にした私の企画書をパラパラめくりしばらく沈黙していたが、顔を上げるなり私の方を向き穏やかに話し始めた。何を聞かれるのかハラハラしたが、部長の顔を見た。
「これは、二人で作ったものじゃないよね」
「はい…」
「どっちが作ったものだ。おそらくプレゼンに出た、高畑君のものだと思うが」
「そうです。私が一人で作りました」
なぜバレた? 部長はやっぱりと言うように、そっと企画書を置いた。