チャラ男大学生とプラトニックな不倫⑫

晶子はアルバイトで知り合った大学生の千葉くんから何度もランチに誘われていたが、千葉くんは生理的に無理な人だった。けれど、人間関係なんていつどうなるかわからない。晶子は少しづつ千葉くんに惹かれ始め最後は不倫関係になってしまった。
4年後。
私は今も同じコンビニでアルバイトを続けていて、今ではアルバイトリーダーまでなった。
時給も上がり、アルバイトスタッフにいろいろ指示を出している。息子も幼稚園を卒業して今では私立の小学校に通っている。千葉くんと最後のときはすごく寂しかったけれど、今ではすっかりと過去の良い思い出となっていた。
そんなある土曜日のお昼頃。いつも通り仕事をしていると、20代の男女が入ってきて私は思わず「千葉くん!!」と心の中で叫んだ。
髪型は少し変わっているし、今はコロナ禍だからみんなマスクをしているから、口元は見えないけれど、間違いなく千葉くんだ。
横にいるのは多分彼女だろうか。2人は話しながら商品を選んでいる。何を話しているかわからないがレジでお客さんの対応をしながらその2人を目で追っていた。
やがて、千葉くんは横にいる女性と一緒に買い物かごを持って私のレジの方に歩いて来て、レジカウンターにかごを置き「会計お願いします。」と一言。
かごを上げたときに気が付いたが千葉くんの左手薬指には指輪をしているのが見えた。チラッと横の女性の左手を見ると同じように指輪をしていた。
千葉くんはきっとこの女性と結婚をして、それで今日は奥さんを連れて実家に帰ってきたとのだろう。もしかしたらこれから結婚のあいさつに実家に行くのかもしれない。
今日のシフトで千葉くんのことを知っているのは私だけ。他のスタッフは千葉くんを知らないから話しかけるはずがない。
そのとき千葉くんは私の目を見て一瞬だけれど、私に笑顔を見せた。それはマスクをしていてもわかった。
「晶ちゃん、元気だった?」そう言っている気がした。
終わり