チャラ男大学生とプラトニックな不倫⑩

晶子はアルバイトで知り合った大学生の千葉くんから何度もランチに誘われていたが、千葉くんは生理的に無理な人だった。けれど、人間関係なんていつどうなるかわからない。晶子は少しづつ千葉くんに惹かれ始め最後は不倫関係になってしまった。

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季節は冬になり、息子の幼稚園も冬休みを目前としていた。私たちは時間が合えば昼間限定の密会を続けていた。

「もうすぐ息子の幼稚園が冬休みに入るからその間は密会が難しくなるかな。千葉くんと会えなくなるのは寂しいけど。」

「それは残念だね。でもバイトで会えるからそれだけでも嬉しいよ。」

私たちは密会を重ねた結果、プラトニックな恋人のような関係になった。

旦那も女性社員とランチを続けているらしいけど、私も千葉くんと密会を続けいてるせいか、気にならなくなっていた。アルバイトの業務中では他のスタッフに気付かれないように平然を装っていた。それでも千葉くんと同じ空間にいれるだけでも満足とまではいかないが、心地よかった。

この頃には私は完全に千葉くんに夢中だった。恋人がいることが私生活にこんなに活力があるなんて知らなかった。

そう考えている内に息子の冬休みが終わり、私たちの密会は再開した。アルバイトだと常に他のスタッフもいるため、油断出来ないがランチに行くときは完全に恋人モードになる。

「今度、千葉くんの家に行っても良い?」千葉くんは一人暮らしをしているため、周りを気にせずに2人だけの空間を楽しむことができるから私は千葉くんの家に行ってみたいと思った。

「もちろん、晶ちゃんなら大歓迎だよ。都合が合えば来週はどう?」

この頃になると千葉くんは大学のほとんどの単位を取得しており、学校に行く回数も減っていた。

「木曜日はどう?私、シフトないけど、千葉くんの都合は?」

「午前中からでも大丈夫だよ。あ、でも2時くらいにはちゃんと帰ってね。」

私は息子が大切なので、息子をほっておいてまで千葉くんとは関係を持たちたくないから私のシンデレラタイムの期限はお昼の2時なのだ。

「うん、それじゃあ、木曜日ね。楽しみにしてるね。」

私の不倫否定の考えは完全に消えていた。それどころか不倫をされる相手方にも原因はあるという理論が出来上がっていた。人の考えは出来事一つあれば一瞬で変わってしまうものだ。

翌週の木曜日に千葉くんと初めて密会したカフェの駐車場で待ち合わせ、私の車で二人で乗車して千葉くんの住んでいるアパートのすぐ裏側の公民館の駐車場に車を停め千葉くんの部屋へ入った。

千葉くんの部屋はとてもきれいで物がそんなに多くなく女性の私から見れば殺風景な部屋だった。だけど、千葉くんは「物が多いと余計な事を考えて本当に必要なことを考えられなくなる。」という理由で部屋には物が少なくしているそうだ。

千葉くんは大企業の役員や、政治家や大発明家になるのではと、このとき思った。大学卒業後にどうなるかはわからないけれど、今は私にとっての大切な人に変わりない。

「そこに座って。」と言われ、数少ない家具の1つのソファに腰かけ千葉くんは「コーヒー入れるからちょっと待ってね。」と言って部屋のエアコンのスイッチを入れてから台所でコーヒーの準備を始めていた。

「お待たせいたしました。」と千葉くんはコーヒーを2つ持ってきてテーブルの上に置き、私の横へ座った。

今まで千葉くんとカフェで向かい合って座ることはあったが隣同士に座るのは初めてだった。とても距離が近いため心臓の音が聞こえるのではと思うくらいすごくドキドキしている。

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