チャラ男大学生とプラトニックな不倫⑨

晶子はアルバイトで知り合った大学生の千葉くんから何度もランチに誘われていたが、千葉くんは生理的に無理な人だった。けれど、人間関係なんていつどうなるかわからない。晶子は少しづつ千葉くんに惹かれ始め最後は不倫関係になってしまった。

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こうして私たちの密会?は楽しく終えた。2時には店を出なくてはならない。シンデレラは夜の12時だけど私はお昼の2時。

昔から思っていたが楽しい時間はなぜ早く過ぎるんだろう。千葉くんはお代を出して店を出て、「それじゃあ晶ちゃん、またバイトで会おうね。」と私に手を振りながら歩いて行った。私も車に乗り自宅へ帰る。

帰宅してからも、千葉くんのことが頭から離れない。

ふとテレビをつけると元ダンスグループのメンバーの不倫疑惑の件がワイドショーで流れていた。私と同じ年の女性で、中学生のときにこのグループのCDも買ったことがある。

少し前の私だったらきっと怒るだろうけど、今の私には他人事とは思えなかった。もし、私が有名人で今日のことを見られたらスキャンダルになるんだろうなと考えながら息子の幼稚園のバスが到着する頃なので家の外へ出たところにちょうど幼稚園のバスは到着した。

翌週、アルバイトの出勤日に千葉くんと一緒のシフトになった。

「晶ちゃん、おはよう!」いつも通り何も変わりのない千葉くんだった。

「千葉くんおはよう。」と私もいつも通りのあいさつをした。

「ところで晶ちゃん、今度いつランチする?」

急な振りだけれど、その振りを受け止められる私だった。不快に感じることもなく、誘ってくれて嬉しかった。旦那も女性社員とたまにランチに行っているし、私だってたまにくらいなら大丈夫。

「来週シフト入ってない日ある?」

こんな感じで私たちはたまに2人だけでランチをするような関係になった。このことは誰にも言ってないし、私は既婚者だから密会と言っても過言ではない。シフトに入っているときも以前は店長に千葉くんのしつこさを何とかしてほしいと言っていたが今は当たり前だが言わなくなった。それどころか店長から「最近千葉くんと楽しそうに仕事しているね。」なんて言われることもあった。

関係を怪しまれないようにしないといけないから「仕事と割り切ってするようにしたら案外大丈夫でした。」と表面上はそういうことにしている。でも、決して男女の関係になるまではなかった。私としてもそこまでは踏み込む気はなかったし、千葉くんも求めてこなかった。

何度目かの密会のときに私は千葉くんに聞いてみた。

「千葉くんはさ、私に今以上のことは求めてないの?」男女関係を誘っているわけではないけれど、千葉くんにはそう聞こえたのかもしれない。でも千葉くんの返事は

「求めないよ。」だった。期待をしていたわけではないが、疑問だった。男女関係を求めてくる男性は数多くいると思う。でも女性にランチだけの関係を求めてくる男性は珍しい。

「もしかしておれのこと誘ってる?」そう思うのも無理ない。

「いや、そういうわけじゃないけど、なんでかあって思って。」千葉くんは少し考えたような表情になり

「なんというか、晶ちゃんとはプラトニックな関係がいいかなって思ってる。」

「本当に?」

「本当に。あ、でも同性愛者ではないし、性欲がないわけでもないよ。」

「じゃあ、どうして?」

「晶ちゃんと話していることが楽しいから。かな。それに既婚者だとそういった関係になって見付かったらお互い大変だし。」

千葉くんの言っていることは正論だ。既婚者との男女関係が見付かってしまうと慰謝料が請求される。それによって今後の人生もお互い狂ってしまう。テレビに出てくるような人たちが不倫するとテレビ出演が突然白紙になって、それによって賠償請求もされる。

私たちはテレビに出ているような人ではないけれど、それでもお互いの痛手にはなることには変わりない。

きっと千葉くんのことだからそれを知っていたのだろう。彼は見た目と中身にギャップがある上に頭も良く常に先のことを考える人だから。それに自分で言うのもなんだけど、私との会話を楽しそうにしている。

「そうね。私もそれがいいと思う。それに千葉くんとの話楽しいもの。」と私は千葉くんに笑顔を見せた。

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