チャラ男大学生とプラトニックな不倫⑧

晶子はアルバイトで知り合った大学生の千葉くんから何度もランチに誘われていたが、千葉くんは生理的に無理な人だった。けれど、人間関係なんていつどうなるかわからない。晶子は少しづつ千葉くんに惹かれ始め最後は不倫関係になってしまった。

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高校生の頃に好きだった人がいて、友達を通してその人のことを探っていた。その人に彼女がいないと情報が私の耳に入ったときと同じ気持ちだ。でも、その人とは学校帰り友達数人でファストフードに行ってお話することができたけれど付き合うことはなかった。

恋愛がご無沙汰な私にとっては久しぶりのような新鮮気持ちだった。旦那は家族だから今となっては恋愛の対象とはならない。不倫をしてしまう人の気持ちがわかったような気がした。それも千葉くんは私のことを好みと言ってくれた。

「そうなんだ。」

「それにうちの学校の女の子はお嬢様学校を出ている人も多くてさ。話が合わないこともよくあるよ。」

確かに私が通っていた頃もそうだった。私はお嬢様学校の出身ではないけれど、周りにはそういう女の子は多かった。

「確かにそうだね。だけど、大学に入るための勉強大変だったでしょ?私もあの大学に入るため高校3年生の夏休みから猛勉強して遊ぶ暇がなかったもん。」

「そうだね。それなりには勉強したよ。家の家系は高学歴の人が多いから小さいときから勉強するのが当たり前で、一応進路は自分で決めたけれど親はあの大学に進めって顔に書いてあったからね。」

「そっか。アルバイトもしながらけっこう大変なんだね。」

「あ、でもアルバイトは遊ぶお金ってのもあるけれど、経験を積むためにしているからね。」

チャラ男の千葉くんからは「経験を積む」って言葉は意外な言葉だった。いや、チャラ男なのに国立大学に通っていることも意外かもしれない。

「親は学歴も大切だけど、今のうちからアルバイトをして社会経験も積むことも大切ってことも言うんだよね。だからコンビニで働いているんだ。」

千葉くんのご両親がどういう方なのかは全くわからないけれど、経験を積むことも大切と言ってるってことはただの学歴主義者というわけではなさそうだ。

「私も社会人になって結婚するまでは証券会社に勤めていたけれど、学歴あっても全然通じなかった方が多かったから経験は大切よね。」パスタの麺をフォークでクルクル回し口に運んだ。

「晶ちゃん証券会社に勤めていたんだ。それは初耳だ。証券会社ってどう?就職先の選択肢の1つとして聞きたいなぁ。」

千葉くんは見た目と中身が一致しない人だ。見た目はチャラ男で後先を考えてなさそうだけど、中身は常に先を見ているというか。

もちろんチャラ男が全員、後先のことを考えていないわけではないが。

「私は営業だったけれど、新規の顧客の開拓と既存の顧客に金融商品を勧めていたよ。取引先の顧客に損害を出して怒られるときもあったし、利益が出て感謝されたこともあったし。」

千葉くんはうんうんとうなずきながらピザを食べコーヒーで流し込んでいた。

「それで結婚するまで続けてどうだった?またやりたいと思う?」

またやりたいとも思えば、やりたくないとも思える。

「私の場合結婚生活を続けていきたいから戻りたいかと聞かれると戻りたくないかな。だけど、営業は人付き合いだからその点は今も役に立っているかな。」

「そっかあ。ありがとう。まだこの先どうなるかわからないけれど、選択肢の1つとして今後の参考にさせてもらうよ。」

千葉くんは残りのピザを口に運び、コーヒーも飲み干した。

千葉くんは一言でいうとギャップがありすぎる人です。見た目と中身にギャップがあると、女性なら恋に落ちてしまうことも少なくともある。私がその1人だ。

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