チャラ男大学生とプラトニックな不倫⑤

晶子はアルバイトで知り合った大学生の千葉くんから何度もランチに誘われていたが、千葉くんは生理的に無理な人だった。けれど、人間関係なんていつどうなるかわからない。晶子は少しづつ千葉くんに惹かれ始め最後は不倫関係になってしまった。
それから2カ月程が経過して季節は夏になった。
息子の幼稚園が夏休みに入った息子は私のシフトが休みのときは私が面倒を見ていたけど、シフトに入っているときはそんな遠くない私の実家に母に預けていた。父はまだ定年を迎えていないため、平日は会社に出勤している。旦那の両親はどちらとも働いている。息子もおばあちゃんと遊べて嬉しそうだ。
それでも私はコンビニの仕事を私なりに頑張っていた。でもあれから千葉くんは業務以外の会話をしなくなった。そんなとき、仕事の休憩中に突然千葉が私に話しかけてきた。
「晶ちゃん来週時間ある?」
「えっ?何急に?私に何か相談事があるの?」
「とくにないけれど、お茶ダメ?学校の勉強が少し落ち着いたからさ。」
私を振り回しているのかなって思ったけれど、とっさに旦那が会社の子とランチしたことを思い出した。
お茶くらいなら・・・。
今考えると魔が差したとはこういうことを言うのだろう。
「それはお疲れ様。それじゃあせっかくだからお茶だけならね。」
「やったー!」
千葉くんはすごく喜んだ口調でそう言った。
「お茶だけだからね。私は既婚者なんだから。」
このときは本当にお茶だけならって思っていた。テレビのワイドショーでは芸能人が不倫したら大スキャンダルになり、そういった報道を見かける度に私は「結婚しているのに不倫するなんてとんでもない!」と思っていた。
まさか自分が完全否定していた不倫の当事者になるなんて頭の片隅でも考えてなかった。
「それじゃあ、来週の月曜日時間ある?大学が建物の点検のため一斉休校になるんだ。」
「ちょっと待ってシフトを確認してみる。」
休憩室の壁にあるシフト表に目をやると私は休みだった。それと同時に千葉くんのシフトも入っていないことが確認できた。
けれど、シフトがない日は私が息子の面倒をみていなければならないから家を空けるわけにはいかない。
「千葉くんごめんね。私シフトが入っていないときは息子の面倒をみなければいけないから、しばらくお茶はできないかな。」
残念という気持ちが直感的な私の気持ちだった。以前は千葉くんと仕事以外ではかかわりたくないと思っていたけれどふと気付けば、私の気持ちは変わっていた。
「そっかぁ。残念。また誘っていい?」
「期待に応えられるかわからないけれど、大丈夫だよ。」
後から考えると自分でも驚くほどだ。私は千葉くんとお茶いたいって言っているようなものじゃん。
「そっか。ありがとう。」そう言って私と千葉くんはLINEを交換した。