チャラ男大学生とプラトニックな不倫③

晶子はアルバイトで知り合った大学生の千葉くんから何度もランチに誘われていたが、千葉くんは生理的に無理な人だった。けれど、人間関係なんていつどうなるかわからない。晶子は少しづつ千葉くんに惹かれ始め最後は不倫関係になってしまった。
千葉くんは大学生なのに週に3、4回シフトに入っており夕方の時のあれば午前中のときもあり、なぜかお昼だけ勤務の私と週に1回は一緒になる。
2人だけのシフトということはないけれど2人で届いた商品を棚に並べたり一緒に業務をこなす機会は多く、お客様がいないときに相変わらず「晶ちゃん」と呼んでくる。
現代でいえば完全にセクハラになることなのでアルバイトを辞めることも視野に入れている旨を店長に伝えると「人手不足だから我慢してほしい」とだけ告げられた。
まぁ、アルバイトだけの関係だし。渋々千葉くんとの関係を割り切ることにした。
アルバイトを始めてから1カ月が経過して慣れてきた頃にスタッフ間では有名はよく来店するクレーマーの男性の老人が来て、レジで会計をする際に私が対応した。
早く帰ってほしかったのでレジの業務を淡々とこなしていると私の態度が気に食わなかったのか、「その態度でよくアルバイトが出来るな!」と私に説教をし始めた。「申し訳ございません。以後気を付けます。」と私なりにクレーム対応しているが、そのクレーマーの老人は「それが客に対する態度か!」と焼け石に水のようになった。それでもひたすら謝り続けていると、千葉くんは「お客様。申し訳ございませんが以前も申し上げました通り、他のお客様のご迷惑になるので今後は当店のご利用をお控えください!」と強い口調で言い返した。
つまり、このお客様は出禁にします。ってことだ。その老人は「こんな店はもう利用しねえよ!」と言い残し去っていった。
「千葉くんありがとう。」普段の千葉くんからは考えられないような行動だったので驚いた。
「あの人は以前からあんな感じだったから店長にも相談して、また文句付けてきたら出禁でいいよって言われていたから。」さっきの口調とは別でいつも通りの千葉くんの口調だった。
そのことをきっかけに私の中での千葉くんを見る目が変わった。
見た目と行動にギャップがあったんだと思う。それに今考えると仕事もまじめにやっているし、店長や他のスタッフからの評価も高い。
ちょっとした恋心のような気持ちが私の中に芽生えた気がした。でも私は既婚者だし、大切な息子もいるから、ちょっといいなって思うだけでそれ以上の関係にはならない。それに千葉くんとは一回り以上も年が離れてる。
大学に行けば私より若くて可愛い女の子は沢山いるし、聞いたことはないけれど千葉くんにだって彼女がいるかもしれない。
そんなある日、私と千葉くんは一緒にシフトに入っており他にのスタッフもシフトに入っているがどういう訳かお客さんの入りが悪い。でも、そんなときもたまにあるので私たちアルバイトスタッフからすれば助かる。だからスタッフ同士の会話も必然的に増える。
私は仕事にも慣れてきておりお客様が少ないときは他のスタッフともおしゃべりする余裕が出てきていた。だから先日の出来事があってからは千葉くんと話してみたいと思ったので私はお客様がいないときに自分から千葉くんに話しかけていた。
「ねぇ、千葉くん。私と同じ大学だけれど、勉強は忙しくないの?」
「講義はくそ真面目に聞いているし、レポートも提出してから、そこまでって程じゃないよ。」
「そう。私が在籍していたときは、勉強だけで大変だったけれど、今は変わったのかな。」
「もしかしたらそうかもね。晶ちゃん、なに?やっぱりおれとお茶したい?」
急に話題を変える千葉くん。けど、今はそれも許せるかな。
「私、既婚者なんだよ。そんなことするわけないじゃん。」
「既婚者だから?それじゃあ独身だったらお茶してくれるってこと?」
ふと思った。生理的に受け付けられないって思っていたけれど、私は既婚者を理由に断っている。
千葉くんの言う通り、もし私が独身だったら千葉くんの誘いに乗っていたに違いない。だって、今の千葉くんは嫌じゃないもん。
お茶くらいなら・・・。
同じアルバイトのスタッフだからお茶くらいなら。
それなら旦那に見つかっても許してもらえるのでは・・・。