恋に落ちたのは卒業式の1日前⑦

高校の卒業式の1日前。私は同じクラスの江崎くんに恋をした。けれど、彼の連絡先は知らない。が、フェイスブックでつながることも出来て私と同じでGReeeeNが好きな江崎くん。江崎くんから借りたCDの「遥か」が思い出の曲となりました。
「ごめん、おれは大学に行けてないからわからないや。」
その一言だけ返信がきた。
頭を殴られたような感覚でした。江崎くんは浪人して大学に合格するため必死で勉強しているのにこんな贅沢な悩みなんか聞きたいはずがない。江崎くんはきっと勉強のモチベーションが上がるような返信を期待していたんだと思う。
それに今は11月後半、受験勉強は最後の追い込みのはず。
調子に乗りすぎていた自分に初めて気が付いた。
「忙しいのにごめんね。」
申し訳ない気持ちでいっぱいで謝ることしかできなかった。メール以外にも心の中でも何度も謝った。
「気にしなくていいよ。」
と返信が来た。
それ以降は気まずくてメールを送ることは出来なかった。
季節は冬を越え4月になった。
私が江崎くんに恋をしてから1年が経った。
大学の合否はとっくに出ているけれどその連絡は来ていない。でも合格しているといいな。
アルバムを返したあの日。あの秋晴れの日。
江崎くんは楽しく私と話していた。
もし、あの日、勇気を出して告白していれば江崎くんと付き合えたかもしれない。
断られても後悔が残ることはなかったはず。
それから数年経った今でも江崎くんが
どこで何をしているのかはわからない。
でも、幸せに暮らしていればいいなって思います。
今日も桜の花がひらひらと舞っています。
終わり