恋に落ちたのは卒業式の1日前④

高校の卒業式の1日前。私は同じクラスの江崎くんに恋をした。けれど、彼の連絡先は知らない。が、フェイスブックでつながることも出来て私と同じでGReeeeNが好きな江崎くん。江崎くんから借りたCDの「遥か」が思い出の曲となりました。
周りを見ると小学生も下校しており私の心拍数は高くなっていること以外は何もかもいつも通りだ。「わりぃ、待たせたね。」と高校の卒業式の前の日、あの桜の花びらがひらひらと落ちながら私に手を振っていた江崎くんと同じ表情の江崎くんが現れた。もちろん桜の花びらはないけれど、私の好きな人、江崎くんに変わりはない。多分このときの私は口をポカーンと開けていたと思う。それくらいドキドキしていた。
江崎くんはパーカーにジーパン。だけど、パーカーの色が濃いベージュ色で私のワンピと同じような色だったので勝手に親近感がわいた。それと小さな紙袋を手に持っており、多分この中にCDを入れているのかなって思った。
「ひ、久しぶりだね。元気だった。」声が少し震えてしまった。
「ああ、元気だよ。アルバム持ってきたよ。」と小さな紙袋を私に差し出してきた。
「あ、うん。ありがとう。」
中身を見るとGReeeeNのCDが入っていた。緊張して何を話せば良いかわからなかった。けれど、江崎くんは「のんはなんだかおしゃれになったね。」と言ってくれた。
着ていく服に悩んだけど江崎くんにそう言われてすごく嬉しかった。
そこから江崎くんが続けた。
「あのさ、フェイスブックを通してやり取りするのは面倒だから電話番号とアドレスを教えてよ」
全く予想外なことを言ってきたので理解するのがワンテンポ遅れてた。
「あ、良いよ。」
なぜか無愛想な返事になってしまった。でも内心はこれで今後は江崎くんと連絡が取りやすくなると思いこの前部屋でしたガッツポーズをしそうになったけど心の中のガッツポーズで留めておいた。
「江崎くんって大学に進学したんだっけ?」
なんとか会話を続けなきゃと思い今度は私から話を持ちかける。そういえば他の同級生の話はしていたけれど、江崎くん自身の話は全く聞いてなかった。
「いや、今は浪人しているんだ。」
なんだか悪いことを聞いたような気がした。
でも「そうなんだ。来年は合格できるように応援してるね!」
と出来る限りの言葉を江崎くんに掛けた。
江崎くんにも伝わったのか
「ありがとう!頑張るよ!」
と笑顔で答えてくれた。
私にしてはMVP並みのファインプレーだ。
「そうだ。それじゃあ、おれの電話番号教えるからワンコールして。」
「そうだね、ちょっと待って」
私は慌ててバッグからケータイを取り出した。
「はい、言うよ。090-××××-××××。後でこの番号にメールアドレス送って。」
こうして私は江崎くんの連絡先をゲットした。
「いつでも連絡して大丈夫だから!」
自分の父親意外に男子の連絡を登録することが初めてで私のケータイに価値が産まれたような気がした。