利用者のお孫さんと不倫してる話⑭

でも、本沢さんは私には気づいている様子は全くなかった。

私はエンジンを止めて本沢さんの車をジーっと見ていた。

なんとか私から見える位置に本沢さんは車を駐車して、車を降りてスーパーへ入っていった。

どうやら1人でスーパーに着ているらしい。

なんでここにいるんだろうって思ったけれど、それ以上に本沢さんをこの目で見れたことが嬉しいと直感的に思った。

だから私は本沢さんの駐車スペースの右横が空いていたので車のエンジンをかけてその空いているスペースへ車を移動させエンジンを止め本沢さんを待つことにした。

でも、よく考えればストーカーみたいな行動だ。

だけど、本沢さんは自分から連絡先を書いたメモ用紙を私に渡してきた。

だから偶然会ったように装っても、むしろ本沢さんからすれば嬉しいのでは?

それに私に面と向かって「きれいな顔」と言ってきた。

今思い出すだけでも自分に自身が持てる言葉だ。

といろいろ考えているうちに本沢さんが買い物袋を片手に持ち戻ってきた。

どうやら買い物を終えたようだ。

そして私の車の目の前を通り過ぎ私から見て左側に駐車している本沢さんの車へ向かいドアを開けようとした瞬間・・・。

私は今まで自分が生きてきてここまで勇気を振り絞ったことはないと思う程の行動に出た。

私の車のカギを回しバッテリーを入れて助手席側のパワーウィンドウを開き、

「本沢さん!」

と声をかけた。

このときの感情はよくわからなかった。

怖い?緊張?嬉しい?

本沢さんはどこから声が聞こえたかわからないような仕草で周りをキョロキョロしていたので

「本沢さん、こっちです。」

と再度声をかけた。本沢さんはすぐに私のほうを向き、

「あ、ジャムさん!」

と気付いてくれた。

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