利用者のお孫さんと不倫してる話⑧

仕事の連絡なら必要なことだけど教育に関する相談を仕事で知り合った男性にするなんて。
それに連絡先は個人的に教えてもらったもの。
でも、本沢さんのことは人として好きだし。いろいろ考えていると玄関が開く音と同時に「ただいまー」と子供たちの声が聞こえた。夫のお母さんが子供達を送り届けてくれたのでせっかくだから上がってもらった。
現実に戻されていたけれど夫のお母さんの言ったことが私を不快にさせた。
「ジャムちゃん聞いたよ。子供たちを教師にするために塾に行かせるんだってね。」
子供たちが勉強頑張る目的で自分から行きたいって言ったから行かせるのであって教師になってもらうために塾に行かせるわけではない。
「えっと、私は子供に職業を自分に選んでほしいと思っていますのでそのため塾と思ってます。」
と私が言うと間髪入れずに
「だめよ。教師が1番なんだからね」
夫も同じことを言っていた。きっと親譲りの言葉なんだろう。それを考えると変な疲れが私にぐっと、のしかかった。
夜の7時くらいになり夫が帰って来るのと入れ替えに夫のお母さんは帰って行った。夕食を済ませ夫とあまり話す気になれず最低限の会話だけをしてベッドに入り
明日本沢さんと電話をすることを考えていたらいつのまにか睡眠に入り気付けば朝になっていた。
朝の出勤は時間が早いので夫と子供たちが起きる前に家を出る。この日の仕事も何事もなく終え、タイムカードを切って家路に着く。
季節は冬なので誰もいない部屋は寒くとりあえず暖房を付け部屋を暖めスマホで昨日メールした時間を確認するとちょうどその時間になっていた。
もう電話しても大丈夫かな。と思っていると私のスマホの着信音がなり画面を見れば本沢さんからだった。昨日メールをし終えた後に電話帳登録をしていたのですぐにわかった。
電話を取るのにこんな緊張することなんてまずない。普段なら何も考えず電話に出るが1度深呼吸をして心を落ち着けてから通話ボタンを押す。
「もしもし、ジャムです」
「もしもし、本沢です」 相談だけの通話のはずだったけれど私の人生を変えてしまう通話になった。