利用者のお孫さんと不倫してる話⑦

次の日に息子に塾の件を聞くと娘と同じく行きたいと即答。これには私が反対する余地はない。お金はかかるけれど共働きだし何より夫の実家が教育にはお金を惜しまないので金銭面での心配はほとんどない。

私は沢山のことを学んでその中からやりたいことを選択してほしいに対して夫は教師になることが1番。

教育方針に違いにモヤモヤしている。だからこそ本沢さんに話を聞いてもらいたい。

連絡はしないと決めていましたが相談くらいなら。

それに連絡をしたからといってもそれ以上の関係には出来ない。確かに私は本沢さんのことが人として好きだし本沢さんも連絡先を渡してくるくらいだから私に少しは気がある。

でも私は職場で指輪も付けてないしきっと結婚していることも知らないと思う。だから既婚者ってことを伝えたら彼も身を引くと思っていました。この時までは。

週が明けて月曜日になり、今週は木曜日が休みでそれまでは朝早い時間の勤務。だから帰ってくる時間も早いのでその時間に本沢さんに連絡してみようと思う。仕事に行くときのカバンの中を見ると金曜日にもらった携帯の番号が書いたメモがまだ入っていた。

この日の仕事を終え夕方前には家に着いた。子供たちは今日夫の実家にいる。

カバンの中からメモと自分のスマホを取り出し改めてメモに書かれている番号を確認する。相談だけで会うことはない。それくらいなら不倫にならないよね。

自分にそう言い聞かせながらメモを持つ反対の手でスマホを持ち番号を入力したけど最後の発信ボタンが押せない。

ここまで来て戸惑っている私の頭の中に”きれいな顔”と言われた時にすごくドキドキしたことを思い出した。

洗面台に行き自分の鏡を見てみると高校生の頃からお気に入りのボブヘアの私がいた。

「この顔を見てきれいな顔と言ってくれた。」

鏡の自分を見て変だけど自信がついた。けど、電話は勇気がいるからショートメールを送った。

「こんにちは。ジャムです。メモありがとうございました。」

それだけのメールを送り10分くらい経ってからピコンと着信音が鳴った。スマホを手に取り送信するよりメールを開くときのほうが緊張する。冬だから普段なら指先が乾燥しているはずなのに指先から出た汗で乾燥してない。

「こんにちは。本沢です。急に連絡先を渡されて迷惑ではなかったでしょうか?連絡いただけて嬉しいです。」

恐る恐るメールを開くと本沢さんらしく丁寧で率直なメール内容だったので緊張が解けてメールを続けることが出来た。

「迷惑ではありませんので大丈夫ですよ。実は相談したいことがあったのですがこちらこそ迷惑ではなかったでしょうか?」

「ジャムさんが相談ですか。実はこれから仕事なので明日の今くらいの時間であれば電話も可能ですが。」

本沢さんは塾の講師のため夕方から出勤することも珍しいことではない。

「お忙しいところすいません。それでは明日の今くらいの時間に電話させてもらいますね。」

「了解です。では」

私と本沢さんの関係が仕事の関係から個人的な関係になったような気がした。メールを終えてから椅子に座って少しだけ罪悪感を感じました。

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