単身赴任の既婚者男性③

と返事をした。
それから鶴見さんはずっと営業に出ており話すこともないまま週末を迎え就業時間が近くなった頃営業に出ている鶴見さんからLINEが来た。
「今日の仕事終わりよろしくね。」
何のことかははっきりわかってたのでOKスタンプで返信をした。
この日も私たちは1時間程の残業で会社を後にして今回は会社から離れた大手居酒屋チェーン店に向かった。店内に入り、料理を注文しお酒が来て私たちは乾杯をした。
気になるのは先週の「既婚者でもアプローチしてもいいのに」という鶴見さんの言葉である。本気なのか冗談なのか。
お酒が入ってる勢いもあったので私は遠回しに質問をした。
「鶴見さんは奥さんと仲良くないの?」
これで仲が良いという答えじゃなれば先日のことは本気と捉えても間違いないだろうと考えた。
「ん~。悪くはないけどお互いに恋愛感情は全くなく家族って感じの存在かな。」
夫婦生活で良くあるパターンだ。ネットの不倫記事で読んだことがある。ってことは私からアプローチすれば私たちは付き合えるってこと?
もちろん不倫関係にはなるから結婚することは出来ないけど。
「それじゃあさ、私と付き合わない?」
自分でもよくこんなことが言えたなと驚いた。きっとお酒の力もある。既婚者に付き合わないなどと酔ってないと言えない。
だけど、一番は寂しい気持ちがあったからだと思う。鶴見さんは仕事のこととは言えいつも優しく声をかけてくれるから私の心の中でいつしか鶴見さんを意識し始めたのだろう。
「ふうこちゃんが良ければよろしく。」
とあっさりとOKしてもらった。
その日を境に私たちの不倫関係が始まった。仕事が休みの日には鶴見さんの1人暮らしの家に行ってお泊りしたり旅行に行くこともあった。
鶴見さんは家に帰ると奥さんの両親もいて気を遣う生活をしてるせいか、私と一緒にいたほうが気楽だそうです。
付き合い始めて教えてもらったけれど鶴見さんには奥さんとの間に小さい子供がいるため1人暮らしの家には来ないらしい。
だから私たちは完全に独身同士の恋人気分だった。
ただお正月やGW、お盆などの長期休暇は帰省してるけれどクリスマスのようなカップルイベントのときには一緒に過ごせた。
そのような生活が数年続きましたが同じ会社ということもあり、私たちは社内でも噂となってたのでこれ以上の関係を続けるとお互い社会的信用も失うおそれもあるため話し合いの結果残念ですが別れることにしました。
それから間もなく鶴見さんは他の営業所へ転勤になりました。
鶴見さんの家族には全く気付かれていませんでした。
私たちの行動は世間で言えば不倫です。良くみられることはありませんが私にとっては鶴見さんと過ごした日々は素敵な思い出でした。
終わり