バイト先で知り合った年下のカレ⑧

そこまで言いかけたけど緊張する。
「え?何?もしかして、おれのこと好きなんですか?」
けいたくんが私に代わって言ってくれた。多分けいたくんのことだから気を利かせてとかではなく冗談交じりなんだと思うけれど、前進できた。
「実は、そうなの。」
言い切った。
けいたくんに助けられたけど言い切ったぞ、私。
「そうなんだ。だったらもっとはやく言ってくれればいいのに。それじゃあ、付き合おうよ!」
とまぁ、こんな感じで緊張していた私とは対照的に軽いと言うか、なんというか。でも結果は最高なものになった。
「うん、ありがとう。よろしくね。」
こうして、私たちは付き合うことになりました。
それから季節は3月になり私は無事に高校を卒業した。
地元に住むのもの今月までで来月から私は育った地を離れ就職のために県外へ行くことになる。家族や友達と会えることは少なくなってしまうのは淋しいけれど、一番は淋しいのはけいたくんに会えることが少なくなってしまうこと。
私は残り少ない時間を有意義に使おうと考えていた。けいたくんは日曜日が休みだったので3月の日曜日は全て開けた。2月末で3年間お世話になったうどん屋のバイトも辞めいつでも就職先の県外へ行ける状態にした。
そこからは地元で有名な観光スポットに2人で行ったり、違反になってダメだとわかってたけど原付バイクに2人乗りした事。遠くに行くため電車に乗りその間はずっと手を繋いだ事。私はこの頃に車の免許を取っていたので親から車を借りて夜中にドライブをしたり、
けいたくんが「給料が入ったから」と言って贅沢にも焼き肉を食べたりと。
思い出せばまだまだたくさんあります。
私が県外へ行ってからもわざわざ来てくれたりもした。本当に大好きになった彼と一緒に過ごせて私は間違いなく幸せでした。
でも、その時間はそう長くは続きませんでした。
急激に距離が近づいたせいもあったのか、お互いまだ当時の未成年だったからなのか。それとも私が県外に行ったからなのか。
原因の特定は出来なかったけど会うことが少しずつ減っていき最後はお互いに会いたいという気持ちさえなくなっていた。だから、別れるのは一瞬だった。
電話で別れようってことでお互いあっさりと同意をして別れることになりそれからは彼と会うことはおろか連絡さえ取ることもなくなった。
付き合い始めたことは平成の初期の頃だったけれど今は年号が代わり令和になるくらい時間は流れた。
それから数年後、私は就職した県で別の男性と出会い結婚した。
けいたくん、
今はどうしているのかな・・
幸せでいてほしいな・・と
時々彼の真っ黒に日焼けした顔を思い出してはそんな風に思い出に浸っています。
終わり