バイト先で知り合った年下のカレ⑥

そして彼は続けた。
「突然店辞めちゃってすいませんでした。まぁ、いろいろありまして。だけど、とむこちゃんには一番お世話になったからあいさつだけはしっかりしないとなって思って。」
「そうだったの。わざわざ店に電話をしてくれてありがとうね。」
やんちゃな彼の良い所はそういった所です。
店にいたときもあいさつを欠かさずしていた。そして今回もわざわざあいさつのための連絡をくれた。
「それで、とむこちゃんのポケベル持ってますよね?番号教えてくれませんか?」
予想してなかったことを聞かれた。でも内心はすごく嬉しくて自然と顔が微笑んでしまった。だって番号を知ればまた会えるかもしれないってことだし。だから戸惑うこともなく私の番号を教えた。
店長からは店の電話だから手短にと言われていたので、私の番号を教えてけいたくんの番号も教えてもらい電話を切った。
それからの仕事の時間はすごく楽しく感じた。
顔がニヤけてないか心配でなるべく平然を装っていたことを今でも良く覚えています。
仕事が終わり家に帰るとすぐに家の電話からけいたくんの番号にメッセージを送りました。
現代のようにラインで数秒で返信したり出来ないけど当時はなんだかすごく新鮮な感じですごくドキドキしました。
たまに自宅の電話からけいたくんの家に電話することもありもちろんポケベルで何時ぴったりに電話するからとメッセージを入れてからだけど。
2人だけのやり取りの回数を確実に重ねました。
そのやり取りの中で教えてもらったのですがけいたくんがうどん屋を辞めた
理由は知り合いの先輩が勤めている建設会社で1人従業員が辞めたので1人募集してると聞き先輩に話を通してもらったところ若くて元気があるってことで採用されたからです。
だったら家の事情じゃなくて始めからそういえばいいのに。その点は彼らしいです。
高校の卒業式を約1か月後控えた頃。私は高校卒業後進路が決まりました。それは他県へ就職です。