バイト先で知り合った年下のカレ⑤

その日からは仕事に身が入らずシフトに入る楽しみもなくなってしまい、店を辞めようかとさえ考えていた。

それにこの当時はポケベルが主流で今のようにスマホで簡単に連絡を取れるような時代ではなかったしけいたくんの家もどこにあるかわからなければ家の電話番号も知らない。

同じバイト先にけいたくんと仲良くしてた人も多くいてその人達に聞いてみたけどみんなよくわかっていなかった。

こうして私はけいたくんと会うことも連絡を取ることもあの笑顔も見ること機会すらなくなったのです。

季節は秋から冬になり雪が降るようにもなりました。

私のけいたくんに会いたい気持ちは変わることがありませんでした。それくらい好きになっていたということです。

この日もいつも通り仕事をしていると店に電話がありました。

店の電話対応は全て店長がしてたのでとくに気にしなかったのですが店長は私を呼び

「とむこちゃんに電話だよ。けいたくんから。一応仕事用の電話だから手短にね。」

この頃は私用で職場に電話をかけてくるなんてよくある時代でしたのでこういった光景はよくあることでした。

「もしもし、とむこだけど、けいたくん!?」

これで彼とまた会えるかもしれない。わずかな期待を込めて私は飛びつくように電話を変わりました。

「とむこちゃん。けいただけど。」

電話越しだったけれど数か月前と何も変わらない声。

その声を聞けただけでもひとまず良かった。

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