復讐のための不倫が本気になってしまった。⑦

9月11日 18:00頃

「それじゃあ、久しぶりの再会のカンパーイ!」

「久しぶりに乾杯!」

天野くんと飲むなんて大学以来のこと。そういえば大学のときはみんなで飲んでたから天野くんと2人きりは初めてかな。

「そういえば、天野くんと2人で飲むのは初めてだっけ?」

「そうだっけ?何度かあったような気するけれど、覚えてないや(笑)」

初めてだろうが、何回目だろうが、どちらでもいい。今は2人なんだから。あの頃の時間が私にとってすごく楽しくて、楽しくて。でも天野くんがいたから楽しかった。大学の頃にみんなで集まったとき、天野くんは何かの用事で参加できなかった。その集まりがなんだったか覚えてないけれど、天野くんがいなかったから楽しくなかった。それだけは覚えてる。

「私も覚えてないけどね。あの頃はみんなで毎日のように騒いで楽しかったね。そういえば彼女さんはどういう関係なの?」

好きだった天野くんと結婚する人がどんな人かは気になる。知ったところで何かなるわけではないけれど。

「そうだね。あの頃が一番楽しかったよ。彼女とは社会人になってから会社の人の紹介で知り合ったんだ。年齢も30歳になってたし、そろそろ結婚かなって思って、会社の人に相談したんだ。で、紹介してもらったって感じ。」

「そうなんだね。どんな人なの?」

「こんな人だよ。」

とスマホの写真を見せてもらった。

「へぇ。」

見る限りでは華奢な感じでおとなしそう。これと言って特徴もないし、目立つタイプでもなさそう。

「なんというかザ・普通って感じかな。もちろん悪い人でないし、一緒にいてもいごごちが良い人。」

「そうなんだね。そういえば聞いてなかったけれど、天野くん仕事なんだっけ?」

大学で天野くんの記憶は止まってるから今は何の仕事してるかわからなかった。

「広告代理店だよ。そんなに大きな会社ではないけれど。大学卒業して同じ会社だけど・・・、思い出した!内定出た時にみんなに伝えてると思うけれどまさか覚えてない?」

ふと、思い出した。そうだ。思い出した。天野くんは大学の仲間内では内定が出るのが一番遅くて、それでみんな内定出て卒業旅行の計画を練ったんだ。そういえばそんなことあったな。10年くらいたつと人の記憶なんてあてにならないものだ。

「今思い出したよ!それで卒業旅行にみんなでコテージに泊まってオールしたんだ!」

「そうそう!行ったね!あれは卒業旅行って感じだったなぁ。今では体的にオールなんてできないや。」

もう一つ思い出した。そのコテージで私は天野くんに告白しようと思ってたんだ。だけれど、みんながいるから告白出来ずそのまま旅行も終わり、卒業を迎えたんだっけ。もし、あの時に告白してれば、私が天野くんと結婚していたかもしれない。でも現実は違う。

卒業旅行以前にもみんなで花火大会に行ったり、免許取り立ての友達の運転で夜の海に行ったりしてたな。天野くんももちろんいて、少しづつ天野くんを好きになったんだっけ。良い空気になっても自分の恋愛より、友達の輪を優先してたから、告白できるタイミングがなかったんだ。天野くんと話してるといろんなことを思い出してくる。

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