クラスメイトと同じ人を好きになった高校生④

その日は訪れた。
私は学校から帰る途中に忘れ物をしたことに気付き帰り道の途中で引き返して学校へ戻った。無事に忘れ物を取り今度こそ帰ろうと教室を出たときにあきとくんと出くわしてしまった。
正直気まずいからしゃべりたくなかったけど、目が合ってしまったので無視できなかった。けど先に口を開いたのはあきとくんだった。
「マイナ、どうしたのこんな時間に?」
「忘れ物したの。あきとくんこそどうしているの?」
何を話せばいいかわからずあきとくんと同じことを聞いた。
「マイナと同じで忘れ物した。で、今から帰るところ。」
「そう。それじゃあ私帰るね。」
この場から帰りたい。ただそう思った。
「ちょっと待って。マイナさ、なんでおれのこと避け始めたの?おれ、なにかした?」
避けてるわけじゃないよ。忘れようとしてるだけなんだよ。でも、そんなことは言えない。
「だって、他の高校の子と付き合ってるって聞いたから私が話しかけたらその子に悪いかなって思って。」
1年生のときにそのようなうわさを聞いたことを思い出したので言い訳のようだけどそう言った。あきとくんと話すことが苦しい。この光景をみおに見られたらなんと言えば良いのだろう。
「他の高校の子と付き合ってる?誰がそんなこと言ってたの?おれ誰とも付き合ってないよ。」
「えっ!?そうなの!?」
あきとくんの言った意外なものだった。
確かにうわさにはなってたけれど誰も一緒に歩いてるところを目撃したわけではない。私は驚いたと同時に拍子抜けし黙り込んでしまった。
みおのこと伝えようか悩んだ。私があきとくんのことを好きな気持ちもまだ残ってる。驚いて黙り込んでる私にあきとくんは私が思ってもないようなことを伝えてきた。
「あのさ、マイナ。おれ小学校の頃からマイナのことが好きだったよ。」
「え・・・?」
完全な不意打ちだった。言葉の意味はわかるけれど、頭で理解することが出来なかった。
「だから付き合ってくれないか?」
理解が出来たときには頭の中が真っ白になった。
私だってあきとくんのことが好き。
みおから相談されてからあきとくんのことを忘れようと思っても忘れることが出来なかった。私が小学生の頃に男子からいじめられたとき私を助けてくれたのは私のことが好きだったから?
そこまではわからないけれど私もそのことがきっかけで好きになった。だけど、みおのことを考えると付き合うわけにはいかない。みおは私に何度もあきとくんとつないでくれないか頼んできた。
でも、その度に私はあきとくんとそこまで仲良くないという理由で断ってきた。
どうしよう・・・。
一瞬の間に沢山のことが私の頭の中を巡り、私は口を開いた。
「あきとくん・・・。私・・・。」
「ごめん!今好きな人がいるからあきとくんと付き合うことは出来ない!」
私は一生懸命謝るように声が大きくなり顔の前で手を合わせ、とっさに思いついた嘘であきとくんとは付き合えないことを伝えた。でも好きな人はあきとくんだから嘘ではないかな。
「そっか・・・」
あきとくんは残念そうな顔をしたけれどすぐに切り替えた。
「卒業前に伝えられて良かったよ。マイナがその好きな人と付き合えるといいな。」
「うん・・・。」
「それじゃあ。」
と一言だけ言いあきとくんは振り返ることなく去って行った。
「きっとこれでいいんだよね・・・。」
自分に問いかけるように言ったらなぜか自然に涙が出てきた。
それから私たちは高校を卒業しそれぞれの道へ進んだ。みおもあきとくんも卒業以来会っていないので今2人がどうなってるかわかりません。
これが私にとっての忘れられない恋の思い出です。
終わり