既婚者の彼氏。後悔?ありませんよ。③

先輩の言ったことが理解するのに時間もかかった。

「岡田さんは既婚者なんですか?」

聞き間違いと願いながら先輩に聞きなおした。けれど願いは叶わなかったし聞き間違いでもなかった。

私のへこんだ表情を見て先輩はウチの会社は男性社員も多いから他にもいい男見つかるよ。と励ましてくれたけど、私の耳には届いてなかった。

岡田さんは結婚指輪もしてないし20代だから独身と思い込んでた。よく考えてみれば岡田さんのような非の打ちどころがないような男性を女性が放っておくことはないし。けれど私は岡田さんのことを諦めることは出来なかった。

私は岡田さんが既婚者と知りながらもアプローチを続けた。岡田さんの前でわざと物を落として前かがみになって物を拾って体でアプローチすることもあった。

あるとき会社終わりに食事に誘ってみたら既婚者を理由に断られたが、日を改めて誘い続けた。

そしたら食事くらいならと一緒に食事に行くことになりました。2人で食事をする日。会社の近くのイタリアンのお店で食事をすることに。

ここのお店は社内の人から評判の良いお店だったので1度来てみたかった。

岡田さんは始めは困ったような感じでしたが、食事しながら話してるうちにいつも通りの優しい岡田さんになっていった。

奥さんには会社の後輩が相談があるから夕ご飯を食べながら相談に乗るため遅くなると伝えてるそうだ。

「今日は本当にありがとうございました。奥さん悪い気持ちになってませんかね。」

「妻は後輩の相談にはしっかりと答えてほしいって考えだから少しくらい大丈夫だよ」

「そうでしたか。それなら一安心です。あと、今日は私にここのお代を出させてほしいんです。」

「え、悪いからいいよ。」

「いいえ、いつも岡田さんには相談に乗ってもらってるので、そのお礼がしたいと思いまして。」

岡田さんはいつもの笑顔で答えた。

「そっか。それなら今日はごちそうになるよ。ありがとうね。」

こうして私は2人分の支払をした。

私は定期的に岡田さんとこうして会社終わりに食事やカフェに行くことになり、少しづつ関係を作り上げていった。

それを繰り返してくうちに岡田さんのほうから私を誘うようになった。

この頃には私はある程度1人で仕事ができるようになっており岡田さんは教育係りを外れることになっていた。やっと半人前になったということだ。

それと同時期には岡田さんは主任に抜擢されて20代ながらも出世街道に乗っていた。その分、帰りが遅くなることも急激に増えたが、毎日遅くまで仕事をしているわけではない。早く帰れるときには私と会ってくれるときもあった。

私はこれならいけると確信したので意を決して岡田さんに告白することをした。

会社帰りに岡田さんと食事に行く約束をし、その帰り道で私は伝えた。

「岡田さん、いつも本当にありがとう。」

「こちらこそ、ありがとう。ゆかこちゃんと一緒にいるとすごく楽しいよ!」

「私も楽しいです。岡田さんが独身ならずっと一緒にいたいと思えるくらい。」

「もしそうだったら嬉しいねぇ。」

岡田さんは笑顔でそう言った。

今しかない。

今伝えるべきだ。

3秒くらい沈黙が続いて私は言った。

「・・・・あの、無理と承知してるけど私と付き合ってほしいです。」

言ってしまった。

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